知ってますか?手助けや援助に気づいてもらえるヘルプマーク・ヘルプカード
障害者や援助の必要な人の見分け、つきますか?
みなさんが見知らぬ人とすれ違ったとき、その人が障害者や援助が必要な人だと瞬時に分かりますか?
たとえば、車椅子を利用している人、白杖を持っている視覚障害者、出産を間近に控えた妊婦さんであれば比較的すぐにわかると思います。
でも、聴覚障害、内部機能障害、精神障害、初期の妊婦さんだと外見からは障害者や援助が必要な人だとはすぐには分からないのではないでしょうか?
以前に、後ろから自転車に乗った人からベルを鳴らされたことがありました。ベルの音が聞こえづらいので気づかず、自転車から降りて怒鳴ってきました。怒っていることは分かっても何を言っているのか分からず「難聴なんで・・」と伝えたら、諦めて去って行きました。
もちろん怒りがこみ上げてきましたが、やっぱり外見から障害があるとは気づかないし、世の中には健常者だけではなく、障害者もいるんだという前提の社会にはなっていないんだと実感した瞬間でもありました。
そんなことばかりの世の中じゃないにしても、障害者や援助が必要だと分かってもらえるようになれば便利ですよね?
いやいや、障害者に見られたくないとか、分かってもらえなくて結構だ、という意見もあると思いますが、障害者だと分かってもらえた方が後々面倒なトラブルに発展する可能性も少なく出来るのではないでしょうか?
電車やバスの優先席の利用
電車やバスなどの交通機関を利用するときに必ず設置されている優先席。
私の優先席のイメージは、お年寄りが来たら席を譲るという感覚を持っていました。妊婦さんも優先されるべき対象になるのはもちろんです。そんな人たちがきたら席を譲ってあげられる自分でありたいと思っています。
でも、よくある話ですが席を年配の人に席を譲ろうとしたら、老人扱いするなと逆ギレをする人もいたりして、席を譲るという行為が難しいと感じるときもあったりします。
かつて私も年配の人に席を譲ろうとしたとき、「すぐに降りますので大丈夫ですよ」と優しく断られたことがありました。ご本人は遠慮していたのでしょうが、それでも譲ろうとするのがいいのか、もう一度座り直していいものなのかどうしたらいいのかわからず迷いました。結局座り直しましたが、ちょっぴり恥ずかしい思いをしたことがありました。以来席を譲ることを躊躇してしまうときもあったりします。
誰に譲るべきなのか判断がしづらいこともありますし、実際妊娠初期の方や内部機能障害のある方など、外見上では判断が難しいときもあったりするかもしれません。
また外見上では見分けがつかないような障害者が優先席に座っていたりすると、他の人に席を譲ってあげないの?という、まわりからの無言のプレッシャーもあることも想定されます。座っているご本人もそういった目で見られているんだろうかと思うと落ち着いて座っていられないですよね。
知っていますか?ヘルプマーク
そこで、援助が必要な方が周囲に知らせて援助を得られやすくするために、平成24年にヘルプマークが作成されました。こちらは東京都が作成したもので、少しずつ認知度も高くなっているようですが、まだ日本全国で導入されているわけではないようです。
東京発「ヘルプマーク」が全国共通マークに!7月20日、JIS(案内用図記号)に採用
このたび、経済産業省において、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向け、外国人観光客にもより分かりやすい案内用図記号とするため、7月20日、JIS Z8210(案内用図記号)が改正され「ヘルプマーク」も追加されました。これにより、「ヘルプマーク」が全国共通のマークになるため、多様な主体が多様な場所で活用・啓発できるようになり、広く普及し、認知度の向上も期待されます。
東京都は、ヘルプマークが全国に普及し、援助や配慮が必要な人がいることへの気づきや思いやりのある行動を促進することを目指しています。
平成29年6月現在、導入されている府県は以下のとおりです。
京都府・和歌山県・徳島県・青森県・奈良県・神奈川県・滋賀県・大阪府
(東京都福祉保健局より引用)
もし、ヘルプマークをカバンやバッグ等に付けておけば、これを知っている人から電車やバスで席を譲ってもらえるかもしれませんね。また、優先席に座っていてもヘルプマークがあればまわりの無言のプレッシャーも少しは和らぐかも。
ヘルプマークはどこでもらうの?
2017年現在では下記の場所でもらえるようです。
東京都
- 都営地下鉄各駅(押上駅、目黒駅、白金台駅、白金高輪駅、新宿線新宿駅を除く)駅務室
- 都営バス各営業所
- 荒川電車営業所
- 日暮里・舎人ライナー(日暮里駅、西日暮里駅)駅務室
- ゆりかもめ(新橋駅、豊洲駅)駅務室
- 多摩モノレール(多摩センター駅、中央大学・明星大学駅、高幡不動駅、立川南駅、立川北駅、玉川上水駅、上北台駅)駅務室(一部時間帯を除く)
- 東京都心身障害者福祉センター(多摩支所を含む)
- 都立病院、公益財団法人東京都保健医療公社の病院等
京都府
〈京都市内〉
- 京都府庁障害者支援課(1号館4階)(京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町)
- 京都府家庭支援総合センター(京都市東山区清水4丁目185-1)
- 京都府精神保健福祉総合センター(京都市伏見区竹田流池町120)
- 京都府難病相談・支援センター(京都市中京区竹屋町通烏丸東入る清水町375)
- 京都ジョブパーク(京都市南区東九条下殿田町70)
- 京都市内各区役所・支所
〈京都府内(上記を除く)〉
- 京都府各広域振興局(保健所など)
- 児童相談所(宇治・京田辺・福知山)
- 北京都ジョブパーク(福知山市駅前町400)
- 各市町村
和歌山県
- 和歌山県庁障害福祉課
- 各振興局健康福祉部保健福祉課
- 和歌山市障害者支援課及び保健対策課
徳島県
- 障がい者相談支援センター(障がい者交流プラザ)
- 発達障がい者総合支援センター ハナミズキ
- 発達障がい者総合支援センター アイリス
- 県内保健所(徳島・吉野川・阿南・美波・美馬・三好)
- 精神保健福祉センター
- 県障がい福祉課(徳島県庁1階)
- 県健康増進課(徳島県庁2階)
- 平成29年5月より,これまで配付していた県施設に加え,県内24市町村窓口でも配付をはじめました。
青森県
- お住まいの市町村の障害福祉担当窓口で配布します。
奈良県
- お住まいの市町村の障害福祉担当課
神奈川県
- 各市町村障がい福祉担当窓口等
滋賀県
- 県庁障害福祉課
- 大津市保健所
- 草津保健所
- 甲賀保健所
- 東近江保健所
- 彦根保健所
- 長浜保健所
- 高島保健所
- 各市町の障害福祉担当部署
大阪府
- 大阪府(福祉部障がい福祉室障がい福祉企画課)
- 大阪府内市区町村(詳しくはそれぞれの市町村にお問合せください。)
困っているときに助けてほしい。そんなときのヘルプカード
席を譲ってあげられたし、ご本人もほっとしているようだし、心が通じ合えたような感覚になってうれしい気持ちになれますね。
でも援助が必要なことは席を譲ってほしいだけとは限りません。困っている人がどのように手助けしてほしいかを相手にうまく説明できないことのほうが多いのではないでしょうか。そもそもうまく説明できるなら困っていないのかもしれません。
内部機能障害の方が苦しんでいるときに自分はこういう状況であーでこーでと説明するのは難しいでしょうし、災害発生時に聴覚障害者に対して避難方法や説明を一生懸命説明しても聞こえないので分からないでしょう。精神障害を持つ人が突然パニックを起こしてしまったとき、周りの人は「変な人」扱いして近寄らないかもしれません。
そんなときにヘルプカードがあれば、周りの人もこれを見て援助をしてほしい人の状況が理解できるようになっています。
カードの裏には、お名前、連絡先の電話番号、連絡先名(呼んでほしい人の名前)が記載できます。必要に応じてご家族の方が、ヘルプカードの余白にでも障害内容とか対処法とかを書いておくのもわかりやすくていいかもしれませんね。
使用にあたってのご注意
ヘルプマークは障害者手帳を持っていなくても取得は可能です。性善説を基準にしている制度なので決して悪用しないようにしてください。悪用がまかり通ると制度そのものの信頼性を失ってしまいます。くれぐれもその趣旨にあった使い方を心がけてください。
また、実際のところ、このヘルプマークとヘルプカード、まだまだ認知度が高いわけではないので、あまりに期待し過ぎるのはまだちょっと厳しいかもしれません。早く社会に認知されていくといいですね。
(おまけ)
仕事で疲れたサラリーマンが優先席にいた場合、どう感じますか?
そっとしておいてあげたいところですが・・・微妙ですね。